
この二週間のうちに、ジャンク扱いのNASが大量供給されたのでそのまとめをする。以前、オリオがQNAPのアウトレットを引き受けたことがあるが、それ以外はIODATAのジャンクがGENOに流れることが多い。今回の祭りもやはりIODATA製のものだった。
筆者は、GENOからHDL-XR12TW、akibajunksからHDL4-H4Rを購入した。
第一弾 GENO QCPASS
まずはおなじみのGENOからまとめる。以前も入荷したIntelチップを載せる通称:青NASに加え、HDL-XRシリーズがあった。シールに現状が記載されているが、向き債の場合でも電源ケーブルが付属するなど、ジャンクとしては好条件である。青NASが8800円程度、HDL-XRが3800円程度、にそれぞれ値付けされていた。青NASは、外部OSを導入する方法がすでに公開されている。そのため、このシリーズ初心者であれば、GENOの青NASが無難だろう。
HDL-XRシリーズの紹介
商品紹介ページへのリンクも存在するため、メーカー公式ページとしてサポート情報を掲載する。商品紹介ページで確認できるように、純正OSもLinuxベースであり、RJ-45コネクタが複数ある。つまり、ブートさえすれば、素性のいいLinux箱というわけだ。
しかし、IODATA製共通の課題として、OSをスロット内HDDに書き込む仕様がある。ジャンク扱いの個体はすべからくHDD無しであるから、OS無し個体となる。よって、ハードウェアにかなうよう、ブートディスクを作成する必要がある。
そのうえ、完全に分解しない限りメインボードを確認できず、ハードウェア仕様が確定しないことが最大の障壁となる。ここで、手元にあるHDL-XR12TWをもとに概要を記す。
CPUはMarvell社製88F6-B1A2である。Debian系ディストリビューションならば、Armelアーキテクチャに相当する。同CPU採用別型機と照らし合わせる限り、RAMはDDR2 512MBと推定される。SATA側へのI/OはPCIEスロット1レーン相当だった。実際の信号を測定していないが、ボトルネックになる可能性あり。空きランドが3セットあり、JTAGの名が降られていることを確認。旧型機ではシリアルポートの空きランドが確認されたが、いずれかが該当する可能性あり。
HDL-XRシリーズの分解方法
同時に、分解方法を記載する。ネジはすべて#0のプラスドライバーで回すことができる。この手順は、電源線とファンを外さないので、断線に注意する必要がある。それぞれ外すタイミングは存在する。しかし、線の取り回しそのものが難しいので、組み立てに自信がない場合はこの手順を守るのみで十分だ。
- 天面と側面をコの字に包む外装を外す
- ネジを外す
- 外装を背面へ引き抜く
- 外したネジを分離した外装に挿しておく
- 背面の外装を外す
- ネジを外す
- 外装を外す
- 電源を留めていたネジを戻す
- 外したネジを分離した外装に挿しておく
- 前面の外装を外す
- 外装を留めるネジを外す
- アースのネジを外す
- 前面にある追加基板のコネクタを外す
- ツメを外しながら、外装を取り外す
- 地表面の外装を外す
- SATAコネクタをもつ追加基板を外す
- メインボードを格納するトレーを外す
- トレーからメインボードを取り出す
第二弾 akibajunks
引用したツイートは、3ベイモデルのみを示しているが、モデルごとにツイートしたためで種類は豊富だ。GENOに入荷したモデルのみならず、19インチ1U、ハーフ2Uなどがあった。
先述したHDL4-H4Rは19インチ1Uの大きさであり、Intelチップ搭載モデルである。天面を外しこの記事で紹介されたモデルと同等のメインボードであることを確認した。PCIEスロットは、1レーン相当のものだけ同様に拡張可能である。4レーン相当は、いずれもフロントI/O向けに使用済みだ。よって、同様の手順により非純正OSのインストールが可能となる。また、付属品はなく現状渡しで3千円だった。鍵があるモデルのみ、純正鍵が付属する可能性がある。電源ケーブル等は自前のジャンク箱を探るしかない。
番外編 インバースのHDD特価
今回の収穫祭に合わせてか、ショップインバースのジャンクHDDが値下がり続けている。5/18時点では、WDの3.5インチ1TB HDDが千円だったのに対し、5/27には同型機が800円に値下がりした。ラジオデパートにおいても、WDの1TB HDDを1500円で販売する店舗があったので、流通がだぶついている可能性がある。NAS目的ではなくとも、特価が続くうちに調達の検討してはどうだろうか。
まとめ
冒頭で記したように、HDL-XR12TWとHDL4-H4Rを購入した。もともとIODATA製NASのQNAP化を知っていたため、IODATA製NASのジャンクは狙っていた。自室のデータロガー用途に、ラズパイにGrafanaの導入も進めていたため、NASの需要が高まっていた。今回のように非純正OS導入が可能ならば、GrafanaをジャンクNAS上で動かし、ラズパイをもう少し低負荷の用途に回すことができる。こうした事情もあったことが、購入の一助になった。また、家庭内Gitサーバーもたてることで、パブリックストレージを使うことが憚られるような機密データも、デバイス間共有し易くなる。
そこでGENOの入荷告知をもとに、値段を基準にHDL-XR12TWを購入した。これが失敗で、QNAPと共通基盤を持つ前のArm系モデルだった。HDL-XRも、Armel版Debianと公式ファームウェアのちゃんぽんで、動くとは考えられる。しかし、手元に完全なLinux環境がないため、OSのブートを確認できていない現状だ。公式ファームウェアは差分と考えらえるが、u-bootの存在は確認できるため、復活の一助になるだろう。
そうした中、akibajunksの入荷告知を発見した。その中にIntelチップ搭載モデルも多数あったが、現地に赴くとHDL4-H4Rの存在を確認できた。当時、4台は在庫があったように思う。HDL-XR12TWと同程度の金額で、Intelチップ搭載モデルに鞍替えできることは非常に大きい意味を持つ。マルチギガビット移行時にラックマウント系機材を導入するため、置き場所に困らないことが後押しにもなった。動作音も小さいため、コンピューティングパワーを必要としない用途なら、下手なブレードサーバーより家庭向きといえる。